第2章 9話
なんとか・・・頂上が見えて来た。
とりあえず・・・あそこに行けば次の目的地が分かる・・・。
・・・あれ?
誰かいるみたい。
誰だろう・・・?
そこには・・・人間そっくりの人がいた。
・・・人間そっくりの人ってのも変な言い方だけど。
でも、これまで出会った妖魔と違い、ルドルフみたいに人間の顔までも見える。
「あの・・・、すいません」
私は声をかける。
その人物はこっちに気がつく。
「なんだ?おまえは・・・?」
「私は葉子。ルドルフに呼ばれてこの妖魔界を救いに来たんだけど・・・」
「ほう・・・。おまえが?」
「ええ。あなたは?」
「俺か・・・?クロウ様に仕える四天王の一人、ラカスタだ」
クロウ・・・!!
私は一歩下がる。
クロウに仕えてるって事は・・・私の敵って事になる。
「悪い事は言わない。ここで引き返せ。そうすれば少なくともお前は死ぬ事はない」
くっ・・・。
確かに・・・今まで出会った相手とは違い、かなりの知識もある。
まともにやりあえば死ぬ可能性がかなり高い。
そのうえ・・・私はまだ武器を使う事が出来ない。
どうやったらその能力を使う事が出来るのか・・・今でも分からない。
こんな状態で・・・四天王というかなりの実力者と戦うなんて無謀もいい所。
「どうするんです?ヨーコ様」
私としては引き返したい所だけど・・・。
でも・・・引き返してどうなるっていうの?
この妖魔界を見捨てる事なんて出来ない。
という事は・・・どのみちこのラカスタという奴も倒さないといけない事には変わらない。
どうする・・・?
・・・。
「分かったわ。引き返す」
私はそう言うと山を下る。
「いいんですか?ヨーコ様・・・」
「何も二度と来ないとは言ってないわ。今は一旦引き返す。あいつに勝てる手段が無い今、行っても無駄死によ」
そう・・・。
今は一旦下りるだけ。
また再び・・・何か対抗策を考えてからまた来るだけの事よ。