第2章 5話
くっ・・・。
このままじゃ・・・追いつかれるのは時間の問題だわ。
1匹とかだったらまだなんとか出来るかもしれないけど・・・。
あんなに大群・・・まず無理だわ。
何とか・・・逃げきらないと・・・。
「ヨーコ様!背中に乗って!!」
仕方無いわ・・・。
私はユニコの背中に乗る。
「そのまま・・・きちんと捕まって!」
そう言うと、もの凄いスピードで駆け出す!
す・・・凄い。
どんどん距離が離れて行く・・・。
なるほど・・・ユニコは馬と似たような姿形だものね。
「でもどうします?このままでは山から遠ざかってしまいます」
あっ・・・。
それはまずいわ。
・・・となると・・・。
あの大群になんとかしないといけないって事ね。
何か無いのかしら・・・。
あれに対抗出来るような物が・・・。
とりあえず匂いをなんとかしないと・・・。
・・・!?
匂い・・・!!
「そうだわ!!」
私はポケットを探る。
あった。
まさか・・・身だしなみの為に持っていたのが役に立つなんて思いもしなかったわ。
「ユニコとフェアは遠くに逃げていて。これからあいつらの鼻を役立たずにさせるから」
「どうするんです?」
「思いっきり強力な匂いを出すのよ。だからあなた達は離れて欲しいの。味方にも被害が出たらまずいでしょ?」
私はそう言うと、それを握りしめユニコの背中から降りる。
「勝算はあるんですね?」
「間違いないわ」
だからこそ、ユニコとフェアには離れて欲しい。
それに・・・私はある程度傷を負っても後でユニコに治してもらえる。
だから・・・多少危険でもこれは私がやるしか無い。
フェアは・・・体が小さいし体力もそれなりしか無い。
万が一死んでしまったら嫌だし。
よーし・・・。
私は気合いを入れる。
・・・来た!
フンババは私に向かってまっすぐ来る!
行くわよ・・・。
ある程度まで引き寄せて・・・。
私はそれを辺りにまき散らす!
そう・・・。
女の子だったら持ってるような物。
香水よ!
フンババは思い通り、香水の匂いにやられている。
私もこれは凄い少量でしか使った事ないけど・・・。
これほど大量に使ったのは始めてだわ。
でも私は鼻をつまめる。
だけどフンババは鼻をつまむ事も出来ない。
鼻を頼りにしてる奴らにとっては強力な武器だわ。
よーし・・・。
この隙に私は大群の向こうへと駆け抜ける。
後ろを向くと・・・鼻が混乱したのか同士討ちを始めている。
「ふぅ・・・」




