第2章 4話
まだ山にはつかない。
結構近くには来てはいるんだけど・・・。
「ヨーコ様、疲れましたか?」
ユニコが聞いて来る。
あっ、ユニコってのはユニコーンに付けた名前なんだけどね。
「ちょっとね・・・。こんなに長距離歩くって事無いから」
普段、そんなに運動してる訳でもないし。
こんな事ならお姉ちゃんを見習って何か習っておけば良かったかな。
もっともこんな目に合うなんて思いもしなかったから、仕方ないんだけど。
私は自分の性格を分かっていたから、逆にあまり人と関わる事はしなかった。
絶対面倒事に巻き込まれるもの。
その心配通りだった。
今・・・まさに面倒に巻き込まれている。
しかも途中で投げだそうとも思ってない所がやっかい。
これも性分ね・・・。
「疲れてるなら俺の背に乗ってくれればいいのに」
「何言ってるのよ。そうしたらユニコが疲れちゃうじゃない」
いくら馬のようなユニコとはいえ、その背中に誰かを乗せるという事は無い。
それが急に乗せるとなると・・・それなりに疲れるでしょうに。
「俺は構わない。ヨーコ様のためならば」
もう・・・。
そう言われると余計乗れないじゃない。
「ヨーコ様!!何か見えます!!」
フェアが後ろを見ながら叫んでいる。
その方向を見ると・・・何やら大群がこっちに向かって来ているような・・・。
「あれって・・・かなり危険じゃない?」
「・・・ヨーコ様の言う通りですね」
私達は安全そうな所へと走って逃げる。
「ヨーコ様!どうも・・・私達を狙ってるみたいですよ」
え・・・?
ふと後ろを振り返ると・・・。
確かに・・・大群がこっちに向かってる。
どういう事・・・?
「あっ・・・あれは・・・!!フンババです!」
「フンババ・・・?」
「はい。目は劣ってるんですが、嗅覚で獲物をかぎ分けるんです」
嗅覚・・・。
つまり・・・私達の匂いを追って来てるって訳ね。
見ると・・・確かに目で追ってる感じじゃない。
姿形は牛のようだけど・・・その角は鋭くとがっている。
その目や角の雰囲気で牛では無いと分かる。
まずいわね・・・。
風が吹いてる訳でも無いので、風下に逃げるという戦法も使えない。
どうすれば・・・。




