第2章 2話
「とにかくこっちへ!!」
私は木々が生えている所へと走る。
その木の下の所で止まる。
これなら上から襲われる事は無い。
つまり・・・下を飛ぶしか無い。
とにかく・・・飛んでる相手に上空を取られたまま戦うのは不利な事この上ない。
こうして・・・同じ土俵で戦えばまだこっちに勝ち目があるわ。
あとの問題は・・・私には武器が無い。
剣があるなんて言ってたけど・・・どうやって使うのかまだ分かってない。
それが最大の問題。
こうなったら、やぶれかぶれだわ。
ワイバーンが木の下を飛んでこっちに向かってくる!
「ヨーコ様!!」
「離れてて!危険よ!」
私はフェアを離れさせる。
さすがに・・・今から試みる事はかなり危険。
彼女を巻き込む訳にはいかない。
タイミングが全て。
来る・・・!!
3・・・2・・・1・・・。
「はぁ!」
飛びかかってくちばしに抱きつく形になる。
こうすれば・・・足にもくちばしにもやられる事は無い。
これで相手の攻撃を防ぐ!
だけど・・・さすがに暴れる。
くっ・・・。
私は振り解かれないように必死にしがみつく。
ちらりと下を見ると高く飛んでいた。
どうするつもり・・・?
すると・・・急降下を始めた。
このまま・・・落下の衝撃も加えるつもりね。
負けるもんか!!
上下左右あらゆる方向へとワイバーンは暴れている。
・・・待って。
ワイバーンは地面に向かって急降下してるのよね?
よーし・・・それを逆利用してやるわ!
私はそのまましがみつきながら作戦を実行しようとする。
おそらく・・・地面すれすれでまた高く飛ぶつもりなんだわ。
よーし・・・。
地面がだんだん近づいて来る!!
このまま・・・。
今だわ!
そのままワイバーンの鼻の穴も塞ぐ。
地面まで距離が縮んで来る!
まだワイバーンは暴れてるけど・・・こっちも必死なのよ!
やたらめったら暴れている。
くっ・・・。
地面に衝突する!!
私は思いっきりしがみつく!
「くっ・・・!!」
どうやら・・・そのまま地面にぶつかったみたい・・・。
「ヨーコ様!!大丈夫ですか?」
フェアがやって来る。
「えぇ・・・なんとか・・・ね」
さすがに・・・衝撃で体のあちこちが痛い。
「すまない・・・俺を助ける為とはいえ」
ユニコーンが近づいてそう言う。
「いいのよ。無事でなにより」
ユニコーンはじっと私を見ている。
そして・・・。
角を私に触れさせる。
え・・・?
その次の瞬間だった。
痛みが・・・引いている。
「え・・・?なんとも・・・ない?」
「良かった」
どういう事・・・?
「ヨーコ様、ユニコーンの角には治癒能力があるんですよ」
「え?それじゃあ・・・あなたが?」
「助けてもらったんだ。これぐらいは当たり前だ」




