第1章 11話
「それにしても・・・」
私はこの妖魔界に来ていろんな疑問があったけど・・・・。
どうしてもこれだけは聞きたかった。
「夜なのに星が一つも無いのね」
空を見ても真っ暗で何も無い。
それなのに辺りが分かるぐらいの明かりがある。
これだけはどうしても不思議で仕方無かった。
「え?ヨルって何ですか?それにホシって・・・?」
「えぇ!?」
夜や星を知らない・・・!?
って事は・・・。
「もしかして・・・ずっとこのまま・・・?」
私は空を指さしてそう言う。
「ええ。そうですよ」
まるで当たり前のように言う。
はぁ・・・・。
フェアリーさんの目は嘘を言ってるようには見えない。
つまり・・・。
これがここでの”当たり前”なのね。
「ちょっとね・・・。私の世界と違うって事を改めて認識したわ」
そう・・・。
私達が当たり前だと思っていた事が、ここでは違うのだ。
「そういえば人間界から連れて来られたんでしたね。それだと色々違うでしょう」
「まあね・・・」
太陽も月も星も無いって事になる。
それなのに明かりがあるかのように周りが分かる。
どういう原理なのかまったく分からない。
でも・・・これがここでは当たり前なのね。
「そういえば・・・あなたの事・・・フェアリーさんって言ってた気がするけど・・・フェアリーさんじゃおかしいわね」
「え?そうですか?」
そうよ。
だって・・・それじゃあ犬を犬さんって言ってるようなもんじゃない。
なんか・・・名前をつけてあげたいな・・・。
うーん・・・。
そうだわ!
「フェアリーなんだから・・・フェアさんってどうかしら?」
「フェア?」
「そう。それがあなたの名前。これからはそう呼ぶわね」
「はぁ・・・」
「長い旅になるんだもの。仲良く行きましょう」
「それでは・・・あなたヨーコ様で」
「様付けねぇ・・・」
「だって・・・ルドルフ様のお客様なんですよ。失礼の無いようにしないと」
「別に私は呼び捨てでもいいのに」
「そんな!!とんでもない!」
まったく・・・。
そこまであのルドルフって奴は偉いのね。
もっとも・・・クロウが現れるまではこの妖魔界を平和に保ってきたんだから、敬うってのはなんとなく分かるけど。
ま・・・自分で好きに呼んでと言った以上撤回は出来ないし・・・。
彼女がそれでいいのならいいわ。




