第12章 2話
そこには・・・。
かなりの大広間だった。
そこに数え切れないほどの、妖魔界の住人がいる。
いろんな姿の・・・いろんな種類がいる。
みんな・・・ここへ避難して来たのね。
「みんな!聞いてくれ!!」
一気に周りが静かになる。
じっと・・・ルドルフを見ている。
「紹介しよう。この妖魔界を救ってくれた・・・救世主達だ!!」
私達が出る。
実は私は純白のドレスに着替えさせてもらった。
えへへ。
こういう時じゃないと、こういう服は着れないと思うから。
すると・・・。
割れんばかりの凄い拍手の音が聞こえる。
「そこで・・・救世主を祝う宴を開こうじゃないか!!」
そうルドルフが言うと・・・。
うぉーー!!という歓声が聞こえた。
凄い・・・。
みんな喜んでいる。
良かった・・・。
これで・・・安心出来る妖魔界になる・・・。
「おう。俺もその宴に参加してもいいかな?」
そう言って窓の外に表れたのは・・・。
ドラゴンだった!
あの・・・途中で立ち寄った街のドラゴンだわ!!
そして・・・。
もちろんその街の人達も城へと入って来る。
無事に平和になったからこそ来れたのね。
「よーし!今日はたっぷりと食べて、飲め!!」
ふふっ・・・。
どんどんと食事が運ばれて来る。
「・・・準備がいいわね」
思わず本音を言う。
「なに。邪悪な気配が消えた時から慌てて準備しただけなんだがな」
へぇー・・・。
ルドルフも分かってたのね。
「そうだ!クロウの正体なんだけど・・・あのドルイドのオババだったわ」
「なに!?」
これは・・・。
さすがにルドルフでも驚いたみたいね。
「今回の事は・・・自分を殺すかもしれない妖魔キラーを持った私を殺すために・・・わざと遠回りの旅をさせる計画だったみたいね」
妖魔界の住人なら、妖魔キラーの存在を無視する訳にはいかないものね。
放っておいても来るというのなら、あえて呼んで危険な旅をさせる。
そうすれば・・・。
その旅の途中で死ぬ事もありうる。
当然・・・。
私も仲間がいなければ、クロウの思うとおりだったかもしれない。
だけど・・・。
私は無事にたどり着いてしまった。
これはクロウも計算違いだったみたいね。
「わざと?」
「そうよ。”巨人の目”がここから割と近くにあったから・・・それで占ってたのよ。そりゃあ・・・あの力を使えば百発百中よね」
「まさか!!」
「嘘だと思うなら、”巨人の足”を目標に、反対側へまっすぐ行ってみなさい。よく探せば一人分の道もあるわよ。でも私だって”巨人の目”から真実を教えてもらうまで分からなかったけど・・・」
そう・・・。
まさかこの妖魔界も丸いという常識が通用するとは思って無かったけど・・・。
「そうか・・・。俺もクロウに騙されていた・・・という訳か」
「仕方ないわ。それこそ”巨人の目”に聞かないと分からないもの」
正体を明かさない限り・・・。
信用しても仕方無いわ。
あいつはずっと・・・ドルイドのオババを隠れ蓑にしていたんだから。
そして・・・”巨人の目”を悪用していた。
ただ唯一の誤算は、自分の待つ運命を知っていなかった事。
”巨人の目”の唯一の欠点をあいつは知らなかったんだわ。
自分を利用していた物に裏切られるなんて、皮肉なものね。