第10章 10話
「ヨーコ様・・・?」
はっ!
フェアの言葉で気がついた。
どうやら元の巨人の目の前へと戻っているみたい。
今までの事がまるで夢のような感じ・・・。
でも・・・。
私はハッキリと覚えている。
クロウの居場所を。
「大丈夫ですか・・・?」
「ええ。大丈夫よ、フェア」
どうやら・・・。
他のみんなは何が起こったのか分かってないみたいね。
「クロウの居場所を教えてもらったの。ちゃんと・・・」
「そう・・・。それで・・・何処なんです?」
私は辺りを見渡す。
みんなは不思議に思ってるけど・・・。
あった!
私は無言で進む。
「ちょ・・・ちょっと!ヨーコ様・・・何処へ?」
「決まってるでしょう?クロウの所よ」
そう・・・。
それはあまりにも意外だったけど・・・。
ワルキュリア様の言葉だもの。
間違ってるはずがない。
私は意を決して進む。
「分かるんですか?誰の案内も無しに?」
「ええ」
私はキッパリと言う。
そこは・・・。
巨人の目を越えてさらに奥へと行く。
そこには腰ほどの高さもある雑草が生えていた。
普通、こんな所を進んでも、その内方向が分からなくなる。
でも・・・。
そこには、一人が通れるだけの道があった。
良く見ないと絶対見落とすような所だけど。
そこを私は進む。
そして・・・。
進んだ先にあったのは・・・。
私の求めた場所。
「えっ・・・!!」
フェアが驚いている。
いえ、驚いてるのはフェアだけじゃない。
ユニコもウルちゃんも驚いている。
そう・・・。
そこは私も良く知ってる場所だった。
そう・・・。
そこには・・・。
見慣れた・・・。
ルドルフのお城が見えていたのだった。