第10章 8話
違和感を感じたのは、お姉ちゃんの言葉がきっかけだった。
行くのを止めてた・・・?
この好奇心の塊のような人が・・?。
お姉ちゃんではあり得ない。
いくら止めても聞かずに、最後までやりきっちゃうような人なのよ!?
それが・・・。
「さあ。久しぶりに一緒に外食でもしない?」
私の手を取るお姉ちゃん。
だけど・・・。
私はその手を振り払う。
「葉子・・・?」
「あなた・・・。お姉ちゃんじゃないわね!!」
違う!
ここは・・・私の世界じゃない!!
やはり・・・妖魔界のままなんだわ。
そうじゃなきゃ・・・。
まだ妖魔界を救ってもいないのに戻るなんて・・・ありえない!
「な・・・何言ってるのよ・・・。私は・・・」
「違う!一旦やると言った事を途中で投げ出すなんて・・・お姉ちゃんじゃない!!」
そう・・・。
例えこの家にいるとしても。
旅行には行ってるはず。
「何を言って・・・」
「そうよ!だいたいお隣の健一さんはどうなったの?なんで一緒じゃないの?」
「別にあいつなんていなくても・・」
これでハッキリと分かった!
この人はお姉ちゃんじゃない!!
生まれた頃からずっと一緒で、まるで姉弟か・・・友達には恋人や夫婦とまで言われるぐらい仲が良いのに。
それを・・・。
”いなくても”なんて言葉は絶対に出ない!
「あなたはお姉ちゃんじゃない!!」
ハッキリと言う。
「そう・・・」
お姉ちゃんはがっくりと肩を落とす。
うん・・・。
これはお姉ちゃんじゃない。
これは・・・お姉ちゃんの姿を借りた違う人!!
「私は・・・クロウを倒し妖魔界を救うまでは戻れない!!」
「さすがね・・・、そこまで美喜子って人を信じてるだなんて」
え・・・?
それじゃあ・・・やっぱり・・・。
「それに・・・危険を分かっておきながら戻りたいだなんて・・・。そこまでハッキリ言われたら仕方ないわ」
すると・・・!
家の風景が一気に暗くなる。
そして・・・。
お姉ちゃんの姿も消える・・・。
「ごめんなさい。この力を使うための試練だったの」
そうなんだ・・・。