第1章 9話
「まずはクロウに向かう前に”巨人の目”に向かって見るのがいいじゃろう」
「え?何?その”巨人の目”って?」
「”巨人の目”って言うのはね」
オババの代わりにフェアリーさんが答える。
「この妖魔界の大地には巨人が眠っているという伝説があって・・・その伝説の通り、この妖魔界には各地に巨人の形が残ってるの。その一つとされてるのが”巨人の目”そこへ行けばどんな真実も見えるって話しよ」
なるほど・・・。
「クロウはどこかに隠れておる。残念じゃがわしの力を持ってしても、奴の場所を調べる事は出来ぬ・・・」
へぇー・・・。
クロウは妖魔界の住人では、倒す事が出来ないほどの力の持ち主だって言ってたけど。
すでにオババの力を超えているのね。
「そこでじゃ。”巨人の目”の力を借りるしかないじゃろう。あの”巨人の目”ならばクロウの居場所も見つける事が出来るじゃろう。じゃが・・・そこまでの道のりは長く険しいぞ。クロウもそこに誰も踏み入れる事の無いように、奴の手下がいくつか待ちかまえてるしのう・・・」
それはそれは・・・。
そりゃあ・・・そいつの立場だったら、自分の場所を知らせる事になる存在に向かわせる訳にはいかないものね。
「って事は・・・。まずクロウって奴はその”巨人の目”を壊す事は出来ないって事ね。破壊するのが一番の妨害だもの」
「さすがに奴もそこまでは出来ぬだろう」
「そしてもう一つ。クロウもその力を認めてるって事ね」
そうでなきゃ邪魔するなんて考えないもの。
「そういう事じゃ」
よーし・・・。
「そういう事なら・・・。そこまで誰か案内してくれないかしら?私はその場所を知らないし・・・」
流石に一人で行けるほど、私はこの妖魔界の地形が分かる訳では無い。
当然・・・危険を承知で付いて来る人を見つけないと。
「それなら・・・私が案内します!」
「フェアリーさん・・・」
そんな・・・。
「分かってるの?かなり危険よ。さっきの化け物の比じゃないかもしれないのよ?」
腕に覚えがあるってなら話しは別かもしれないけど・・・。
「いいんです!私・・・命を助けてもらったお礼をしたいんです!」
フェアリーさん・・・。
「私・・・この妖魔界の生き物は全部知ってるんです。特徴や弱点も全て・・・だから、力になれると思うんです」
「どうじゃ?ここまで言うのじゃから・・・」
確かに・・・。
目を見ると決意が固まってるのが分かる。
ここまで来るとテコでも動かないってのは、お姉ちゃんでつくづく分かっている。
「分かったわ」
それに・・・。
特徴や弱点を知ってると言うのはかなりの強みだわ。
彼女には戦う力は無いから、代わりに私が戦えばいい事だし。