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１２話

「…ばかっ」

「うん、ばかで良い。あのさ、俺…頑張るよ。むつが俺の事好きになってくれるように…もう変な事もしない。たぶん」

自信無さそうに、たぶんと付け加えると、ぷっとむつは吹き出した。ついさっきまで泣いていたむつが、くすくすと笑い出すと、西原は少しほっとしたようだった。そして、両手で頬をむにっと押し潰すようにして、顔を上げさせた。

「やっぱ、笑ってる顔のが好きだ」

西原が優しく微笑むと、むつは恥ずかしそうに顔を背けようとしたが、西原に顔を押さえられている。そんなに強い力ではないが、何となく抗いきれなかった。

「…変な事しないって言ったばっかりだけど、キスしたい。してもいいか？」

驚いたように目を真ん丸にさせて、むつはじっと西原を見ていた。