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12話
むつと冬四郎が息を弾ませ、汗を流しながら心臓マッサージを行っている。祐斗と地蔵は、どうする事も出来ずに2人を見ていた。
「いや、どうにかなるな…」
「え?」
狛犬がぼそっと呟き、大通りの方に視線を向けた。つられて、祐斗と地蔵もそちらを見た。しゃんしゃんしゃんっと錫杖の揺れる音が、近付いてきていた。
「間に合うかどうかですよ」
ばたばたと走ってきた地蔵たちが、自分たちの居た場所の変わり果てた姿に驚いたように目を見開いた。そして、むつと冬四郎の方を見た。駆け寄ってきた地蔵たちは、祐斗に頭を下げた。
「1の地蔵、あそこにいる男の魂を引き留めてやってくれないか?間に合うか分からないけどな。お前たちの自分勝手の始末をつけようとした男が死んだんだ」
狛犬がじろっと地蔵を睨んで言うと、1の地蔵はきょろっと辺りを見回した。
「やってみます」




