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12話
ぐっぐっぐっと諦めもせずに、むつは心臓マッサージを繰り返した。はぁはぁと息をつきながら、むつは休む間もなく繰り返した。
「…むつ」
冬四郎は止めさせようと、むつの手を掴んだ。だが、むつはその手を振り払って再び心臓マッサージを始めた。ずっと続けていたせいか、顎から汗がぽたっと落ちた。
「まだ…まだ…だもん」
唇を噛み締めて、むつは諦めもせずに心臓マッサージを繰り返した。冬四郎はむつの必死な顔と、青白い顔をした西原を交互に見た。息を吹き返す様子は、誰が見てもないと思うだろうが、むつはそれでも止めなかった。
流れてきた汗を拭って、むつは人工呼吸をした。そして、また心臓マッサージを始めようとしたが、冬四郎がその手を掴んだ。




