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11話
「…ったく、4の地蔵。死鬼を追い返せ。あのまんまじゃ、むつがおかしくなる」
「そうですね。ですが、わたしだけでどうにかなるでしょうか…死鬼を追い返すにしても、だいぶこちらに留まってますから、難しいかもしれませんね」
「何でお主まで役目を離れたんだ…」
「他の地蔵がもっとすんなりと戻ってくれると思ってましたから…」
狛犬と地蔵は、同時にはぁと溜め息をついた。仕方ないと、地蔵は手にしていた錫杖をしゃんっと鳴らして、むつと鬼の方を見た。
むつは地蔵の視線にも気付かず、鬼の頬に片足をかけて、正面から鼻を拳で殴り付けていた。曲がったあげくに潰れた鼻からは、血が流れるようにとろっと緑色の体液が出てきていた。




