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よろず屋 -無い物は-  作者: 幹藤 あさ
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11話

むつは鬼の顎に日本刀を突き刺し、柄の端を手のひらで押さえるようにしていた。それで鬼が近付けないでいるようだったが、そんな片手で押さえられるほど鬼の力が弱いはずはない。


がぁっと鬼が吠えると、ぼたぼたっと涎が落ちた。びしゃっとむつの足にもかかったそれは、ねばっとしていて腐敗臭を濃く漂わせていた。


片手で押さえられてると分かると、肘と膝をついて鬼は身を乗り出した。体液と涎にまみれ、尻が滑ったむつはずるずると押された。どおっとブロック塀にぶつかったむつは、くっと呻いてうなだれた。だが、ほどけて顔にかかった髪の毛の間から見える目は、まだしっかりと開いていた。


しっかりと開いてはいたが、いつもなら見せるような悔しさや、やり返そうというような意志のこもった目ではなかった。

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