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11話
「だ、だったらむつさんを止めないと」
「むつの好きにさせといてやってくれ」
むつを1番心配していそうな冬四郎がそう言うと、祐斗は言葉に詰まった。冬四郎は、むつと鬼の戦いで被害が及ばないようにと西原を抱き上げて少し下がり、そっと地面に寝かせた。
「でも…」
「むっちゃん、今は仕事を抜きにして自分の感情で動いてるんだよ。きっと色々なね」
颯介はむつを見上げていた。
むつは指を1本ずつ、ずばっと切り落としていっている。それは、なぶるようであり、見ているだけで気分の悪くなるものだった。だが、むつがそうもする気持ちを颯介も祐斗も、分からないでもなかった。




