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１１話

投げ出され落下しているむつは、このまま地面に叩きつけられれば無事には済まないだろう。颯介と冬四郎が駆け寄ってきているが、とても間に合うような距離ではない。祐斗も狛犬と共に、むつを受け止めようと駆け寄った。だが、むつは握りしめていた日本刀を手放し、投げ出していた手足を縮めると、空中でくるっと回った。くるっ、くるっと回りながら、落ちてくるむつに祐斗と狛犬は受け止めようとしては、逆に危ないと少し下がった。

回りながら落下し、むつは地面が近くなると片足を出した。ちゃんと地面に足を着けるつもりでいるようだった。自力で、何とかなりそうだと思ったのか、颯介と冬四郎の顔が少し安堵したように和らいだ。

かかとから地面に着いたむつは、ずりっと滑った。着地させたはずの足が再び浮いて、後頭部から落ちていくと狛犬が素早く駆け寄って、むつの下に入り込んだ。頭を打つ事はなく、狛犬の前足に腕を回すようにして尻餅をついた。落ちてきた高さがあったからか、尻餅といってもかなり痛そうではあった。