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11話
「か、確実にむつさんです」
こんな人の胴体はありそうな太い腕を斬り落とすのは、祐斗が知る限りではむつしかいない。祐斗は、顔を上げて鬼の方を見た。うぉううぉうと身をよじるようにして、鬼が肘を押さえて呻いている。
鬼がぶんっと勢いよく身体をよじると、ぽーんっと何かが外れたように落ちてきた。
「むつだ‼」
狛犬が受け止めようとしているのか、落ちてくる先を定めようとして前後している。
だが、ぽーんっと弾かれたむつは大した危機感もないのか、身体を投げ出すように手足を投げ出している。鬼の向こう側から、むっちゃんと叫ぶ声と足音が聞こえてきている。




