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よろず屋 -無い物は-  作者: 幹藤 あさ
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11話

突然の叫び声を、すぐ目の前で聞いていたむつは顔をしかめただけだった。声と共に腐臭と風が吹くと、髪の毛がまた顔にかかった。西原の血と土地神に貰った軟膏のせいか、ぺったりと髪の毛がはりついた。むつは、それを小指でどけた。手のひらは、べったりと赤く染まっている。


木から落ちたり、地面を転がったり、壁に叩きつけられたりし、しっかりと縛っていたはずの髪の毛は、ほつけてからまってきている。むつは日本刀の柄の部分を噛んでくわえると、髪の毛を手早く縛り直してポニーテールにきた。西原の血のついた柄からは、鉄臭い臭いがして口の中に広がった。


仕事を請け負うきっかけになったのは西原の依頼からだが、西原に大怪我をさせてしまったのは、自分の責任だとむつは感じていた。くだらない事で悩んで、能力が使えなくなった。その結果、西原が死ぬような事になってしまっては、なんの意味もない。


くわえていた日本刀を手に取って、むつはぐいっと口元を拭った。西原の血の味がまだ口の中に残っているが、さほど不快には思わなかった。

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