686/753
11話
地面を転がり、コンクリートの破片であちこち切れ、髪の毛もすでにほどけてしまっているむつは、地面に顔を押し付け目を開けたまま動かないでいた。
「むっちゃん‼大丈夫かい?」
ぼんやりとした様子のむつだったが、颯介の声に顔を上げた。だが、またぱたっと顔を地面につけた。
「むっちゃん‼西原さんに何が…」
西原の名前を聞き、がばっと起き上がったむつは散らばっている札を掴んでぐしゃっと握りつぶした。持っているだけで、何の使い道もない札を持っていても意味がない。落ちていた携帯を掴んで、八つ当たりにばしっと地面に投げるつけると、1度だけバウンドして転がった。むつは大きく息を吸い込み、吐き出すと転がっていった携帯を見ていた。




