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１１話

鬼をとっては刺のような小さな日本刀を抜き棄てると、ぐぐっと身をかがめるようにして、むつに顔を近付けた。

すぐに動けないむつから注意を反らせようと、鬼の真下まで行った颯介はコンクリートの塊を掴んで、尖っている所を鬼のふくらはぎ辺りに刺すようにして降り下ろした。やはり皮膚が固いようで、刺さりはしなかったが、それなりの痛みは感じたようで、鬼は颯介を見た。同じく下に回っていた冬四郎は、鬼が引っこ抜き箒のように使っていた木から折れた太い枝を鬼の内ももに突き立てた。

これには痛みを感じたのか、鬼は仰け反るような反応を見せた。その間に西原が駆け寄り日本刀を拾い上げて、むつを立たせて鬼から離れようとした。だが、鬼は短期的な痛みをもたらした颯介と冬四郎には構わずに、むつと西原を見ていた。

地面を這う蟻を潰すかのように、振り上げた手は、確実にむつと西原を狙っていた。