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よろず屋 -無い物は-  作者: 幹藤 あさ
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11話

ちくっとした痛みに鬼が手を引っ込めると、むつは立ち上がって両手で柄を握って日本刀を鬼に向けた。すぐ目の前に居る鬼は、むつをじろっと見た。背中を強く打ち付けた衝撃が残っているのか、むつは立っているのがやっとな様子だった。それが証拠にブロック塀に背中をあずけるようにして、もたれている。


この状態では直ぐに動けない事はむつも分かっていた。だが、座り込んでいるよりはましだった。


巨大で口臭の酷い鬼が、手を伸ばせば届きそうな距離に居る。膝に力が入っていないのは、背中をぶつけた衝撃でだけではない事を、むつは分かっていた。自分より大きく、凶暴な妖を相手にした事は何度もある。だが、その時には日本刀1本で立ち向かっていたわけではない。気軽に使えていた能力が、今では指先にタバコを吸う時に必要な炎すら出せない。ポケットには札も人形も入っているが、それだってただの紙でしかない。


つい先日までは、こんな能力はいらないと嘆いていたが、今では必要で仕方ない。自分の都合のよさに、むつは自嘲気味に口の端を持ち上げた。

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