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11話
「むつ、大丈夫か?」
「ん…何とか」
そんなに動き回ってもいないが、むつは疲れきったような顔をしている。地蔵が他の3人を連れ戻すと言ってくれたからか、安堵し張りつめていた緊張が少し緩んだ事で、連日の疲れが出てきてしまったのだろう。その前には、雨の中、ずぶ濡れになりながら動き回り、すぐに着替えもしなかったせいで、体調も崩しかけている。
はぁと溜め息をついたむつの表情は、あまり良くはないが、それでもきっと鬼を睨んでいる。
「動きを押さえたいわね」
「無理だろ。デカすぎるし、4人がかりでも腕も押さえられないだろ」
「分かってるけど。こいつ、頭悪いのかよ、同じ事ばっかりしやがって…」
ちっと舌打ちをして、悪態をつくむつの眉間にはくっきりとシワが寄っていた。むつが苛立っている理由が西原には、はっきりと分かっていた。大きな音が苦手なのだ。




