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11話
「死鬼が出現しました。わたしが役目を離れたからです…それを若い人間たちに、任せて来たのです。その方は、わたしが他の地蔵を連れ戻すと言ったら、鬼は任せてと言ってくださいました」
祐斗に抱上げられ、全力疾走された衝撃から完全に立ち直ったのか、地蔵は正座をして真っ直ぐに他の地蔵たちを見た。
「わたしが死鬼に襲われた時には身をていしてかばってくれました。連れ戻すと言ったら、何の疑いもなく頷いて、わたしを信じてくれたのです。そんな方をわたしは騙したくないのです。ですから…お三方、役目に戻られよ」
頼むのではなく命令口調で言われ、3人の地蔵はむっとしたように地蔵を見返した。地蔵と地蔵の静かな争いを祐斗は、狛犬と一緒に遠巻きに見ていた。
「浮遊霊に亡者に死鬼が出現した今、人の手に負える事ではないのですよ。今は土地神様の結界があって、まだ抑えて頂いておりますが…それを亡者が破って外に出たのですよ?それが、どういう事か分かりますね」
亡者が外に出たと聞き、祐斗は顔色を変えた。あんな物が、道をふらふら歩いて人に見られでもしたら、大事になるに決まっている。




