659/753
11話
靴をはいて外に出ると、狛犬は立ち止まった。そして、地蔵がある方向を見た。
「…最後の1体も壊れたみたいだな」
「えぇっ!?何でもっと早く教えてくれなかったんだよ‼それって、むつさんと湯野さんに何かあったって事じゃ」
祐斗が走り出そうとすると、狛犬は上着を噛んで引き留めた。邪魔をされ、むっとしたような顔をした祐斗だったが、しゃんしゃんっと軽やかな音が聞こえてくると、音の方に顔を向けた。
「最後の地蔵が来たんだ」
「みんな、土地神様の所に集合か…のんきだな」
「どうかな?彼は違うと思うぞ」
しゃんしゃんと聞こえてきていた音は、だんだんと途切れ途切れになり、聞こえなくなった。
「石段の方だ」
狛犬が軽く駆け出すと祐斗もついていき、石段の上から下を見た。石段の真ん中辺りに、ぼんやりと光る人影が視える。




