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11話
祐斗が出ると、当たり前といった顔で狛犬も一緒に出てきて後ろ足で器用に、たんっと少し乱暴に障子を閉めた。
「…行くぞ」
「あ、うん…いいのか?」
すたすたと暗い廊下を狛犬が先に歩き出すと、祐斗はちらっと障子の方を見た。狛犬は立ち止まりもせずに、振り向いて頷いた。狛犬が居てくれるだけで、凄く心強くなった祐斗は笑みを浮かべて後をついていった。
「ごめんな。折角、話してくれたのに」
「我こそ、ごめん。もっと早く言っても良かったんだと思ってる…でもな我には、地蔵の気持ち分かるんだ。我は別に好きで散歩してるんじゃない」
「そうなのか?」
「当たり前だろ?我が使えるのは土地神であって…散歩は、ここに居ずらいからだ」
「何で?相方と仲悪いからか?」




