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11話
「むっちゃん、大丈夫かい?」
むつと西原が危なくなった時に注意をひけるようにと、その場に残っていたはずの颯介もやって来た。そして、呆然としているむつの手と落ちている日本刀を拾って、鬼から離れた。
「来ちゃったのは颯介さんなら、バラけた方が良いって考えると思って…」
「俺もそうは思ったんだけど、むっちゃんのお地蔵様って叫ぶ声がしたから気になって…」
「そうだったんだ…」
「お地蔵様は?」
「他のお地蔵様を連れ戻しに行くって…やっぱり、お地蔵様たちが居ないからこんな事になってるみたい」
むつが手早く説明すると、颯介は頷いた。
「連れ戻すまで、鬼を任せるって」
「危ない方を任されちゃったね」
弱々しい表情を見せたむつは、冬四郎と西原の方を見た。2人とも大した怪我はなかったのか、ゆっくりと起き上がっていた。




