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11話
「えぇ。残念ながら、出現した者たちは地蔵が役目を放棄したからです」
はきはきとした喋り方は、おっとりとした穏やかな見た目とは相反する物だった。低い声に威厳があるようで、むつは何だかほうっとした気分になっていた。
「所でお嬢さんは?」
「あ、申し遅れました。玉奥むつと申します…土地神様からの依頼で、この場をどうにかして欲しいとの事でやってきました。力及ばずで大変申し訳ありませんが」
ぺこっとむつが頭を下げると、じゃらっと地蔵の持っていた錫杖が鳴った。
「玉奥さんのせいではありませんから、お気になさらずに。わたくしどもが不届きなばかりに、このような事態を招いてしまったのですから」
むつが頭を上げると、今度は地蔵が頭を下げた。恐れ多い気持ちになり、おろおろとむつは地蔵に頭を上げるように頼んだ。
「あの、それで…どうしたらこの場をおさめる事は出来るんですか?他のお地蔵様たちはどこにいらっしゃるんですか?」




