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11話
むつに追い付いた西原は腕を取って、引っ張りながらさらに走るスピードを上げた。
「何を追い掛けてるんだ?」
「お地蔵様が居たっ…」
すでに息が上がっているむつは、ぜぇぜぇと言いながらも答えた。
「どっちに行った?追うんだろ?」
「うん、大通りの方」
「おっけ、行け」
西原がとんっと背中を押すと、むつはつんのめるようになりながらも、バランスを崩す事なく、地蔵があった場所から穴に落ちないように瓦礫を飛び越えて走って行った。
むつが走っていくのを確認した西原は、瓦礫を掴んで投げて鬼の注意を自分に向けた。




