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１１話

ずんっとすぐ近くで揺れが起き、雲がかかるかのように頭上が暗くなった。むつが見上げると、すぐ目の前にまで鬼が迫ってきていた。このままでは、民家にまで被害が出てしまいそうだった。

亡者が頑張れば破れるような結界だ。亡者が、怖がるような鬼の事だ。簡単に結界も破ってしまいそうだった。

むつは足元に転がっていたコンクリートの塊を掴んで投げ、鬼の注意を自分に向けさせてから、走り出した。植え込みを飛び越えてから、公園内を走っていくむつに鬼は完全に注意を引かれている。

「ばかっ…俺行きます」

西原は女をまたいで、ばたばたと走ってむつを追い掛けていった。

「むっちゃんたちが向こうに行くなら、ここに居ましょうか。同じ方向に行くのは…」

「そうですね。向こうがダメな時にはこっちで注意を引きましょうか」