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11話
「この中からは出したらいけないと思う」
「…ってなると、俺らもこれ以上は逃げられないって事だよね。相手にするにしても、むっちゃんが軽々と飛ばされたの見てるから、立ち向かうには勇気必要すぎる」
「あたし、ほら痩せて軽いからだよ」
「なら、食べなさい」
冬四郎がもっともな事を言うと、むつはへらっと笑っただけだった。だが、すぐに表情を引き締めると冬四郎に向けて手を差し出した。冬四郎は、拾ってきた日本刀を手の上に置いてやった。
「お前、そんな重たい物を振り回してたんだな」
「ん、まぁ…重たいけど、ないとね。至近距離すぎると危ないから…何か良い案が浮かぶまでは時間稼がないと。颯介さん、頭も使ってね」
「うん。その言葉はそっくりそのまま、むっちゃんに返すよ?少しは考えて行動して」
「あ、は…い」
勝手に女を助けに行った事を言われているんだと分かっているのか、むつは頷いた。




