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11話
「…いっ、つぅ…」
むつが呻いて微かに首を振っている。その間に、冬四郎は拾ってきた日本刀を鞘におさめた。
「お前なぁ…」
呆れたように言い、冬四郎はぐいっとむつの顔を上げさせた。髪の毛には枯れ葉や細い枝が刺さっているし、あちこち切り傷が出来ていた。むつは嫌がるように、その手を振り払ったが、冬四郎の手を掴んで掛け声と共に立ち上がった。
「折れたりはしてない?」
「ん、大丈夫。丈夫に出来てるから」
颯介は苦笑いを浮かべて、刺さっている枝を取ってやると鬼の方を見た。足がないから立ち上がりはしないが、動けないわけではない。鬼は膝立ちの状態で、ゆっくりと4人の居る方に向かってきていた。




