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11話
「何でだろうね…あ、あれ鎖?」
むつは首を傾げながら足元を観察していたが、鬼の足首辺りにある足輪のような物を見付けて、指をさした。
「あれは足枷みたいだな…穴の中に続いてるみたいだし、繋がれてるって事か?」
「かもしれないわね…」
西原も目を細めるようにして見ている。足輪のような物の先には、穴の中に続くように鎖が垂れている。
「どうする?どうやって帰って貰う?」
「押し込むにしても力負けすると思うし、中から鎖を引っ張るのはリスキーすぎる」
「まぁどっちにしても、近付くのはハイリスクだよ」
鬼に対しては恐れを抱かないのか、むつは下唇を撫でながら、じっくりと鬼を見ている。むつの冷静で仕事モードな姿に、西原はほんのりと笑みを浮かべた。
「笑ってる場合じゃないわよ」
見られていたとは思いもせず、ぴしゃりと叱られ、西原は肩をすくめた。




