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11話
「…亡者が怯えるような何かって事しか、分かんないよ」
気弱に呟いたむつは、目を細めて公園内を視た。亡者もだが、浮遊霊たちも怖がっているのか、こちらを避けるようにしている。浮遊霊と亡者の反応からして、よほどに出会いたくない物が近付いてきているという事だろう。
「むっちゃん?」
「浮遊霊たちも怯えてるみたい…」
「…そう。よっぽどだね」
「うん。太刀打ち出来るかな…」
出来ない気がしているのか、むつはぎゅっと日本刀を抱くようにした。その仕草には自信のなさが現れており、颯介は首を傾げるしかなかった。だが、本音として言えば浮遊霊と亡者が怯えるような物に太刀打ち出来るとはとてもじゃないが、思えなかった。




