63/753
2話
言葉も見付からず、緊張で口も乾いているのか烏龍茶で口を潤し、唇をぺろっと舐めた。
「むつ、昨日俺に話したように話せば良い。湯野ちゃんと祐斗だからな、ちゃんと聞いてくれるぞ」
「それは、分かってるよ。昨日もだけど、言い出しにくいの…」
「そんなに、ですか?」
祐斗が心配そうにむつを見ると、むつは頷いた。むつはすでに泣きそうなのか、泣き笑いのような顔をしている。祐斗がますます心配して、むつの顔を覗きこんでいる。祐斗まで泣きそうな顔だった。
「ごめん、言うよ。あー…あのね…社長には昨日話たんだけどね。力が使えなくなっちゃってさ…」
むつがようやく話すと、その話した事に対して誰も何も言えずにいた。山上は昨日すでに聞いているからか、平然とした顔をしている。
「だから、祐斗。ごめんね。この前、廃病で仕事があった時、危ない目に合わせちゃって…」
「あ、あの時にはもう?」
「うん」
こくりとむつが頷くと、驚きを隠せないでいる祐斗は颯介の方を見た。颯介も驚いている。むつは2人の反応を見て、どうしようかと困っている。