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11話
「こっちだけが揺れてるって辺り…意味がありそうよね。やっぱお地蔵様が壊れたから、よね?」
むつが確認するかのように言うと、颯介が渋い顔をして頷いた。大通りの方は揺れてないとなると、どう考えても地蔵が壊された事と関係があるだろう。
「今度は何が来るんだろうね」
颯介が嫌々そうに呟くと、分からないとむつも同じ嫌そうな顔をして首を振った。
「とりあえず、依頼放棄で逃げたいね」
「…仕事を放り出すような無責任な事、むっちゃんに出来るわけないでしょ?」
「そう言われるとしにくい。でも、本音として言えば、無理って言って帰りたい」
きっぱりと、少し威張るようにむつは言った。だが、やはり帰る気はないようで地蔵のあった所を、睨むように見ていた。




