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11話
むつの声に気付き、颯介も同じように大通りの方に視線を向けた。むつが何を不思議に思ったのか分かった颯介は、目を細めた。
「変だね」
「やっぱり?」
2人が真剣な眼差しで大通りを見ていると、冬四郎と西原もつられたように見た。最初は2人が何を変に思っていたのか分からなかったようだが、冬四郎はあっと声をあげた。むつと颯介の視線が冬四郎に向くと、冬四郎は目を細めて2人を見返した。
「…向こうは揺れてないみたいだな」
西原も気付いたのか、呟くように言うと、むつが頷いた。4人が居る所は、だんだんと揺れが落ち着いてきていたが、まだ上にある電線は波打つように揺れている。だが、大通りの方は何1つ揺れてはいない。




