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11話
「大丈夫かい?」
颯介にしがみつたままだったむつは、揺れが収まってくると、ようやく颯介から離れた。
「もう…大丈夫。ごめんね」
ふぅと深々と息をついて、むつはブロック塀に背中をつけた。そして、大きく深呼吸をして自分を落ち着かせてから、ゆっくりと辺りを見回した。
大きな揺れのせいで、部分的に残っていた地蔵も台座から落ちて砕け散っている。公園内の遊具は無事だったようだが、それでもまだかたかたと揺れている。そして、地蔵のあった台座は下から持ち上げられるように、もこっと盛り上がっている。
「あ…れ?」
視線をめぐらせて、大通りの方に目を向けたむつは、首を傾げた。




