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11話
むつは、ふうと溜め息を吐いてごとんっと地面に頭を置いた。大切な物を置くような、慎重な手つきを颯介はじっと見ていた。
「…お地蔵様…祐斗は?まだ?」
ふいっと顔を上げて、むつはきょろきょろとした。祐斗がまだ戻ってきてない今、どうなるか分からないという不安があるのだろう。
「祐斗君はまだ戻ってないよ」
「そうなんだ…」
手に何も持ってない状態が不安なのか、むつは投げ出した日本刀を引き寄せた。ぎゅっと掴んで、とりあえず立ち上がろうとしたが、すぐにぺたんっと座り込んだ。何が起きたのかという顔をしたむつは、颯介を見ると颯介も座り込んで手をついた。冬四郎と西原も同じように、しゃがみこんでいる。




