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11話
地蔵が壊れてしまうと、女は勝ち誇ったように、にやにやと笑みを浮かべた。その隙をつくように、そっと後ろから歩み寄った颯介が、女の首を強く打った。油断してたからか、女はあっけなく倒れた。
「…十分、満足したでしょうね」
颯介は倒れた女を見て、吐き捨てるように言ってから、むつの所に向かっていった。冬四郎もちらっと女を見てから、もうどうでもいいとでも言いたそうに、颯介の後からむつの元に向かった。
「むっちゃん」
「…ん、壊れちゃった」
むつは両手に抱き締めるようにして持っていた地蔵の頭を、持ち上げるようにして颯介に見せた。
「仕方がないね。それより、どうなるかだね…今の所は何か起きそうな気配はないけど」
「うん。でも、まだ分かんない」




