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10話
女は颯介と冬四郎は邪魔されて、なかなかむつにも地蔵にもたどり着けない事に、苛立ってるのかぎりぎりっと歯軋りをしている。
ぐにゃっと曲がっているバットは何の役にも立たないようで、それも腹立たしいのか、女は真っ直ぐにさせようと反対方向に折り曲げた。すると、曲げすぎたからか、ぱきんっと真っ二つに折れた。
「うわ…金属バット折りやがった」
「割り箸折るみたいに普通だったわね」
見ていたむつと西原は、女の怪力にも慣れてきたのか、少し関心したような風でもあった。
折れたバットを見ながら女は、少し驚いたようではあったが、それを見てにやっと笑った。




