612/753
10話
のんびりとした和やかな雰囲気から一転、険悪な雰囲気が漂ってきていた。じろりと細い目で地蔵たちから睨まれている祐斗は、少し身を引いた。土地神と少年を視線も祐斗に向けられているが、その視線の意味は分からなかった。
「…何で、わたしたちの邪魔を?」
「そ、それは…その」
土地神からの依頼で動いてると言ってもいいのかと、祐斗がちらっと視線を向けると、目を伏せてほんの少しだけ首を振った。
地蔵たちに言わないで欲しいとの事だ。土地神はどっちつかずの、中立の立場を保つつもりでいるようだ。地蔵には睨まれ、土地神は助け船を出すでもないとなると、祐斗1人で3人の地蔵に立ち向かわなくてならない。なかなか勇気のいる事ではあったが、すぐに腹は決まった。きっと顔を上げた祐斗は、真っ直ぐ地蔵たちを見た。
「お地蔵様たちが居なくなったから、浮遊霊が溢れて亡者が出てきてるんです。それを、何とかして欲しいとの依頼がありましたので…それで、うちの玉奥と湯野がお地蔵を壊させないように阻止しています。最後の1体が壊れると何が起きるか分かりませんし…」




