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2話
「それで、どうだった?」
「うーん…どうしようもないって」
「そうか。まぁ、そうだろうな」
山上はむつがどこで何をしてきたのかを知っているのか、うぅむと難しい顔をしている。
「あの、むつさん?どこに行ってたんですか?それに話たい事って…また何かあったんですか?」
また何か、と祐斗が言うとむつはゆるゆると首を振ったが、うーんと首を傾げた。
「…うん、無かったら、わざわざ待ってて貰ってないよね。そうね、その話するよ。するけどさ…電話でも言ったでしょ?心の準備がって。まだ出来ないから、ちょっと待って」
烏龍茶を飲んだむつは、どこを見ているのかぼんやりとした様子だった。烏龍茶の入っているグラスを持ったまま、テーブルに置こうとはしない。
余程、言い出しにくい事なのだろう。西原は目の前に座っているむつを、そっと観察していた。話すと決めてはいるが、言うタイミングを掴めないでいるようだった。
「むつ、俺は席外そうか?大勢居ると話しにくいだろ?」