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10話
それなら、自分たちの気持ちを分かって貰える事はないか、と地蔵たちは溜め息を吐いた。
祐斗は祐斗で、自分を大切にしてくれているむつたちが、大変な時に土地神と地蔵に囲まれた安全な場所で、のんびりしている不甲斐なさに溜め息を漏らした。
「何で溜め息?」
「そりゃあ…むつさんたちが危険な目に遭ってるって時に、何の役にも立ててないからですよ。もう1人の上司がついてるとは言えど、心配ですからね。僕なんかが居ても役に立てるとは思えませんけどね」
ついつい愚痴っぽくなったが、祐斗は全く気付いていないようで、蜜柑を口に入れて、もごもごと噛んだ。
「危険な目に?」
「え、だって…」
言いかけて、祐斗は口をつぐんだ。




