601/753
10話
少年はじろっと狛犬を睨んだが、すぐに笑みを浮かべて祐斗を見た。そして、横に避けると奥に手を差し伸ばした。
「…お入りください」
「はい…失礼します」
奥には炬燵があり、そこに足を入れてくつろいでいる老人の横には、見覚えのある姿のままの地蔵が3人。同じ様に足を入れて、座っている。異様のはずだが何ともしっくりくる風景に、祐斗は呆然としていたが、ぷっと吹き出した。祐斗が笑うと、老人と地蔵が揃って祐斗の方を向いて不思議そうな顔をしていた。
「あ、いえ…すみません」
真顔に戻った祐斗だったが、その目尻はすぐに情けなく笑うように下がってしまった。祐斗の柔らな笑みにつられるように、老人と地蔵たちも笑みを浮かべた。




