2話
電話越しにむつが、うーんと悩んでいる。やけに、無理して元気な風にしているようにしか思えない感じがしている。
「あっ‼何かあったんですね、西原さんと‼昨日、俺にメールくれたの遅い時間でしたもんね…」
『え…いや、ちょっと社長…』
「俺に助けを求めるな。本当の事だろ?」
「えぇ‼」
颯介と祐斗の声が重なり、本気で驚いている。山上は腕を組んで、うぅむと唸っている。電話越しのむつは、黙ってしまっている。
「そんな報告より、むつさんがどこで何してるかの方が気になりますよ。昨日の事も聞きたいと思ってたんですけど…」
むつに仕事を代わって貰っている祐斗は、何よりもその事を気にしている。
『うん、それね。依頼としては何も無いって事で終わりで良いと思うから、報告書と請求書の作成お願いね』
「分かりました」
『じゃあ、そろそろ…夜にはそっち戻りたいから、あの…いいかな?』
「むっちゃん」
『…はい』
「早めに帰って来てくるんだよ。バイクみたいだし、安全運転で、寒いし気を付けてね」
『…うん、ありがと。気を付ける、で早めに戻るね。じゃあ、また夜に…』
元気のない声で言いむつは電話を切った。山上は携帯を自分の机に置いた。
「納得したか?」
「するわけないじゃないですか」
颯介がばっさりと言うと、祐斗がまぁまぁとなだめていた。だが、祐斗もむつに電話をしても、結局はどこで何をしてるのかも分からないだけだったからか納得出来ないという顔をしている。