2話
スピーカーにしているのか、呼び出し音が聞こえてきている。何コール目かに、留守番電話に切り替わった。
「ちっ…運転中か?」
通話終了を押して、山上は携帯を机に置いた。だが、すぐに折り返してかかってきた。
「もしもーし?むつ、運転中か?」
『ごめん、運転してた。今は大丈夫、何?』
少し苛立ったかのような、むつの声が聞こえてきた。バイクで出掛けているのか、低いエンジン音も聞こえてきている。
「いや、湯野ちゃんと祐斗がな」
『え?待って…』
聞き取れなかったのか、エンジンを切ったようで、むつの声だけがはっきりと聞こえてくる。
「湯野ちゃんと祐斗が、俺の説明じゃ納得しねぇんだよ…お前からも何か言ってくれよ」
『んー?あ、スピーカーにしてる?あたしの声も聞こえてくる…えーっと、颯介さん、祐斗おはよう。昨日はお疲れ様でした』
どことなく、よそよそしいのは電話でそれもスピーカーにしてあるからなのだろうか。
「むっちゃん、今どこ?」
『それは言えない。夜までには戻るから…2人とも夜暇?話…話たい事があるから暇なら付き合って欲しいんだけど』
「暇ですけど、話ってなんですか?」
『それは夜話すから。ちょっと待ってて。あたしにも心の準備とかあるんだし』
「…そんなに重大な話なのかい?」