6話
「いや、ダメだ。そんな時間に1人で出歩かせるわけにはいかない。それに、帰りどうするんだ」
西原が最もらしく言うと、冬四郎も頷いている。帰りの事までは考えて居なかったのか言葉につまった。だが、はっと何か思い付いたように顔を上げた。
「マン喫とか行くよ」
「それなら、西原君の所に泊まればいいだろ」
「良いんですか!?」
「いやだしっ‼」
冬四郎の提案にむつと西原は、それぞれ叫ぶように言った。喜んだ西原はいいとして、むつが全力で嫌がるとは思ってもみなかったのか、冬四郎は少し驚いたような顔をしていた。
「そんな嫌がらなくても…そもそも、お前マン喫とか行った事ないだろ?うち泊まれよ。それに、言っとくけど2人きりじゃないぞ?宮前さん泊まってるからな」
「あっ、そうなんだ…」
冬四郎が居るから2人きりじゃない。それでも何か嫌なのか、むつは悩んでいる。
「そんなに汚くなかったぞ?男の部屋だから、まぁ散らかってるかもしれないけどな」
「ほっといてください」
「だから、西原君に泊めて貰いなさい。お前、昨日みたいに何するか分からないからな。1人で現場をうろつかせるわけにはいかない。泊まりたくないなら終電で帰りなさい」




