6話
むつは烏龍茶をちひちびと飲みながら、テーブルに並んでいる厚揚げやチヂミを少しずつつまんでいた。西原が冬四郎に、むつがナンパされていた話をすると冬四郎はくすくすと笑っていた。冬四郎と西原がビールから焼酎に変えた頃、むつは烏龍茶をカルピスにした。
「…で、どうしたの?急に」
冬四郎も西原も焼酎グラスを持ったまま、ぴたっと動きを止めた。むつはカルピスのグラスを両手で持って首を傾げていた。
「どうしたって…別に、なぁ西原君」
「いや、宮前さん誤魔化し方下手すぎです」
「なぁに?何?何かあったの?」
真面目な顔つきになったむつは冬四郎と西原の顔を見た。2人共、困ったような顔をして、何かを言いたそうにしているが、言いにくいのかなかなか口を開かない。
「何よ…遠くまで呼び出したくせに。しかも夜中の今だもん。何かあったんじゃないの?」
「先ず…こんな言い方、変かもしれないけど、俺らに何か憑いてたりしないか?」
カルピスを飲みながら、むつは目を丸くした。どうやら霊視をして欲しくて呼ばれたようだ。
「能力使えないの知ってるくせに」
拗ねたように言いつつも、むつは眼鏡を外して、じっと2人を見ていた。




