6話
「なぁに?仕事なの?デート?」
「えー。説明」
じろっとこさめが目を細めた。菜々も少しむっとしたような表情を見せている。むつは困惑したような顔をした。
「仕事…ちょっと、しばらくは夜動く事になるから。あ、行けるのかな…近付けなくても、昨日の今日だし…視ておかないと」
何か思い出したのか、むつはTシャツにパンツだけで、ぼっさぼさの頭をしているが険しい表情を浮かべて、下唇を撫でている。考え事してる時の癖が出てると菜々は思った。
「むつ、考えが漏れてるわよ。頭ん中にしまっときなさいよ」
「ごめん。忘れるから…」
「言っても忘れるでしょうに。ほら、仕事なら早く支度しなさいよ」
菜々がしっしっと菜箸を振るうのを見て、むつは困ったような笑みを浮かべた。
「うん…夕飯、何?」
「水餃子と春雨のスープと小松菜のお浸し、豆苗のナムル」
「…あたしの好きなのばっか…スープに豆腐入れて。あと、シメジと舞茸残ってるからそれで炊き込みご飯して」
「スープってより鍋になるわね。白菜と人参も入れるつもりなんだけど…で、米ね。太るわよ」
「仕事の後なら大丈夫。たぶん」
「むつ、痩せたもんね。体重減ると体力も落ちるって直弥言ってたし、少し戻さないとね」
「痩せたってより、やつれた?顔とかちょっと、あんたふっくら気味のが可愛いわよ」
「うんうん。おっぱいあってティーバッグはくくせに、バランス悪くなる」
「ちょっ‼こさめっ‼」
「あーむつはTバック多いわよね。食い込まないわけ?」
「…大丈夫」
むつはふぅと息を吐いた。菜々もこさめも出掛ける事を反対はしないが、嘘をついてる分、自分は悪いなと思った。




