6話
菜々とこさめがキッチンにこもって何やら、真剣な顔をしているのが怖かったがむつは気にしない事にした。
ソファーに寝転がり、携帯をチェックした。祐斗に冬四郎、西原からメールが届いていた。内容はどれも同じようなものだったが、むつはちゃんとそれぞれに返事を返した。返事を返したばかりなのに携帯が振動し、また返事がきたのかと思ったが着信だった。それも西原からの。出にくいなと思ったが、メール返した以上は起きている事もバレている。出ないわけにもいかなかった。
「…はい?」
『あ、悪い。寝起きか?機嫌悪そうだし、ちょっと声かすれてるな』
「そんな事ないよ。それより何?」
『暇なら飯行かないか?』
「はー?仕事は?仕事、あたしらのせいで増えたでしょ?そんな暇ないんじゃないの?」
『あほ。夜くらい飯食うし寝るんだよ。新しく事件が起きない限りはな。で、どうだ?出てこないか?』
「…面倒くさい」
『言うと思った。宮前さんも居るけど』
冬四郎も居ると聞くと、むつは悩んだ。西原も冬四郎の名前を出せばむつが来ると思っているのかもしれない。相手の思い通りにはなりたくないが、やはり悩む。
『…言っとくけどな、宮前さんをだしに使ってるわけじゃないからな。宮前さんがむつもって言ったんだからな』
「ふーん…で、あなたは?」
『俺?そりゃあ、一緒に飯食えたらって思ってるけど…俺だけじゃ嫌だろ?この前、お前がそう言ったろ?』
2人では会わないと言った事を西原は気にしているのか、少し落ち込んだような声だった。傷付けたのは悪いと思うし、そんな風に言われてしまうと顔を会わせにくい。
『待った、今のなし。嫌味とかのつもりじゃない…会いたい。宮前さんが一緒なのは、あんまり嬉しくないけど…2人でじゃなくても、会えたらって思ってるよ、本当に。2人でがベストだけどな』




